作業ってほんとにダメなの?

世の中の仕事は複雑になり、誰でもできる仕事の価値がなくなり、

コミュニケーションがどんな仕事にも大事だと言われています。

よく、「考えろ、作業になるな」「AIに仕事を奪われるぞ」と

クリエイティブの対義語であり、単純労働と置き換えられることも多い「作業」。

この言葉について考察してみました。

結論から申しますと、私は2つの点で「作業」は偉大だと考えています。

1つはその行為の厳密さ。

「何かを行うこと」と「何かができあがること」

この揺るぎない関係性の美しさたるや。

物事の本質は「作業」の中にこそあるのではないかと感じてしまいます。

私が学生のころ現代アートの教授が、ある工場を見学に連れて行ってくれました。

どんな仕事が見られるのかとワクワクして行きましたが教授は終始無言。

木材を切ったりカンナなどで加工し家の材料を作る工場でした。

そこには人間の背丈の倍ほどもうず高く積まれた木の削くずがありました。

そこで教授は一言。

「これが作業です」

以上。

講義終了。学生たちポカーン…みたいな。

なかなかユニークな講義でしたが、

今ならなんとなく教授の言わんとしていたことがわかる気がします。

作業と結果。

この揺るぎない関係性に美しさや深みを見いだすのだと思います。

もう一つの偉大な点は

無心の恩恵です。

仕事において、頭を使え、考えて行動しろ

とはよくいいますが、それは当然なのですが、

弊社のようなアイデアをウリにしている会社ほど

「出来るだけ考えるな、作業せよ」

も同じくらい重要です。

矛盾している気がしますが、よく考えると当然で、

限られた人数でできるだけ高い品質とお求め安い価格で、

クリエイティブを仕事にするためには有限な時間を有効に使う必要があるからです。

つまり「効率」です。

絵を描いたことがある方なら

自己か他者と向き合う

その時

対象と一身となり

無心に頭を使わず心で描いている感覚を味わったことがあるかもしれません。

これはどんな作業においてもあてはまります。

非常に濃密な集中した効率の良い時間です。

準備においても同じです。

余計な物事は頭にいれずただひたすらその対象と向き合う。

アイデア、創造。

これもまた頭で行う作業ですね。

そうなんです。

「作業」はただの効率重視な生易しいものではない。

対象の深いところと繋がり

無心となり

新しい価値を生み出すものなのです。

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